夏の始まり、僕たちの始まり
抜けるような青空を泳ぐこいのぼりが眩しくて、視線を下げたら別の光に目を射抜かれた。
ちかり、と陽の光を反射したのは大切な
夏の花のように明るい彼女に、とプレゼントしたダイヤモンドのペンダントトップが、始まったばかりの夏の光を受けてキラキラと輝いている。
ふふ、と笑った彼女が僕の指に指を絡ませる。
その胸元でひときわ強く輝く黄色のダイヤモンド。
陽の光を受けたダイヤモンドはまるで夏の花のように黄色く輝き、僕たちを祝福してくれる。
普段は淡い黄緑色のこのダイヤモンドが、陽の光を受けた時だけひときわ強く黄色に輝くのは「自信」や「富」を表すというけれど。
幸せを呼ぶこのカナリーイエローのダイヤモンドには、もう一つ言葉が用意されている。
「永遠の絆」
願わくば、僕たちの絆が、永遠に続くものであることを。
「……結婚、しよっか」
そう、口走ってしまったのはカナリーイエローの輝きに当てられたからか。
「……うん」
そう、頷いた彼女と僕を祝福するかのように、こいのぼりはゆらりゆらりと空を泳いでいた。