Story

  ――かつて、その世界に神になろうとしたものがいた

 その存在は孤独で、自らの分身と対話することで寂しさを紛らわそうとしていた
 だが、孤独はつのるばかり
 やがて、その存在は人間に認めてもらえば寂しさは消え、
 神になれるのではないかと思うようになった
 神になれば、より多くの人間に認めてもらえる
 その存在は、自らが作り出した世界に人を招くようになった
 多くの人間がその世界に訪れ、謎に挑み、そして力尽きていった
 「彼女」が訪れるまで

 「彼女」は「世界」を見た
 「彼女」は「世界」と対話した
 そして「彼女」は「世界」を知った
 その世界は、「彼女」によって新たな一歩を踏み出した
 それが、「彼女」の物語

 だが、「世界」は一つだけなのか?
 否、「世界」は無数にある
 正確には、「世界」の原型は無数にある
 何かしらのきっかけが、「世界」を新たに誕生させる
 それは軌跡にも近い確率で
 しかし「世界」との出会いは必然と言える
 今ここに、新たなる「世界」が開かれ
 新たな物語が始まる

 これは、かつて「幻惑の空間」に挑み、全てを受け入れた「彼女」の物語ではない
 新たな世界、新たに呼ばれた別の「彼女」の足取りである――